そして、その上記の3社とは別なのですが、5月8日(火)に、ベトナム株ノーロードファンド1で戦略的機関投資家としての1社目の出資が正式に決定しました。こちらはロンアン省にあるドンタムタイルという会社への出資です。
OTC市場価格よりも若干安く取得しています(この会社に関しては、外国の投資家は、個人、機関投資家を含めOTC市場で取得することは会社として認めていない<戦略的機関投資家としての出資でないと不可能>)。
なお、同社への投資金額は約4億円です(もっと多く投資をしてもいいぐらいだったのですが、それ以上は確保できませんでした)。
社名にタイルとありますから、「な〜んだ・・」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとタイル生産から始まったというだけで、ここ数年で急激に成長。現在では有力な総合建材&不動産企業となっており、ベトナムでは超有名ブランドとして名が通っています。建材では、もちろんベトナムトップ企業であり、民営企業グループとしても、ベトナムを代表するような非常に著名な企業グループです。
たとえば、ベトナムのサッカーのプロリーグに「ドンタム煉瓦 ロンアン」という、人気チームを保有していますが、民営企業でサッカーチームを保有して有名なのはホアンアイン・ジャライと同社ぐらい。有力な選手を集めている上、ブラジル人監督を招いたことからも有名で、同社の資金力の豊富さを伺わせます。
また、ドンタムタイルの社長は起業家の旗手的存在としても有名です。
一方、財界人でもありながら、ベトナムの国会議員でもあり、政界に太いパイプがあります。これは同社に様々な投資案件などが舞い込む要因となっています。
さて、同社の魅力ですが、もちろん建材市場の伸びと言うこともありますが、最大のポイントは、その知名度・資金力・政界のパイプと民営企業ならではの機動力のある経営によって様々な投資案件を抱えていることです。まず、同社は非常に有力な不動産を多数保有しています。たとえば、同社が最近獲得したハノイの都市部の土地(約4ヘクタール)はシンガポールの企業が3000万米ドル(36億円)ですぐに開発権利を買ってもいいと提案したほどです(もちろん売却はしませんでしたが)。今後、工業団地、住宅開発を多数予定していま
す。
また、建材・不動産会社の株式取得も積極的です。たとえば、07年3月にはベトナム株ノーロードファンド1でも購入したTOAN THINH PHATの8.3%の株式を額面価格の3倍程度とOTC価格よりも格段に安価な株価で、戦略的機関投資家として投資をしています(一番下のニュース参照)。これらだけでもかなりの資産ですが、これらは飽くまで一部です、その他にも様々な投資をしており、現在の時価総額は非常に割安に思われます。
■ドンタムタイルの投資の一例
・ドンタムタイル社、老舗衛生陶器社株の60%を取得
・ドンタムタイル社、ビンキュー石材社株の20%取得
また、建設資材に関しては、製造だけではなく、消費者向けのチェーン店経営も手がけており、こちらも、ベトナムのホームデポへの成長が期待できるような有力事業に見えます。
同社に関してはもちろん、長期で保有する計画ですが、今回の取得によってベトナム株ノーロードファンドの機関投資家としての実績が作れましたので、今後の交渉が非常に有利に展開できるようになった点も大きなプラスです。
たとえば、TOAN THINH PHATなどへの戦略投資家としての交渉の際には非常に有利でしょうし、同社の社長とは非常に良い関係を結べておりますので(もともと親日家の方なんです)、今後いろいろと面白い展開も期待できそうです。
このような形でベトナム株ノーロードファンドでは、ファンドならでは規模と、現地の人脈・機敏な機動力を活かしてこのような有利な第3者割当の取得に動いております。
<終わり>